通信のしくみ(2/3)~ データリンク編 ~
2016/12/15
通信のしくみ
~データリンク編~
基本のおさらい
通信は、以下の(1)~(4)の流れに沿って、行われるものでした。
~データリンク編~ では、現在主流のデジタル通信について、
(1)~(3)を詳しく見ていきます。
(4)は、次の ~プロトコルスタック編~ で見ていきます。
(1)データ に関するしくみ
まずは通信で実際に送るデータをつくる必要があります。
大まかには「□□は、××を表す」というような
可逆変換に沿ったルールをあらかじめ通信相手との間で決めておき、
そのルールに合わせてデータをつくります。
そして、「(4)共通認識」の逆変換でも、同じルールを使います。
このような、相手と共通で持つルールのことをプロトコルと言います。
(2)道 に関するしくみ
通信の道は、「物理的な道」と「論理的な道」の2つが通っている必要があります。
物理的な道
物理的な道とは、電気ケーブルや電波など、電気が通るための道です。
~考え方の基本編~の自動電話交換の例で見たようなネットワークです。
論理的な道
しかし、物理的にはつながっている道でも、
進入禁止になっていたら、その道は無いのと同じです。
また、曲がり角をいくつも曲がるようなルートも、
その曲がり角で他の道に行けなければ、1本のルートと同じです。
このように、物理的には道があっても、ルールとして通れない道があった場合、
ルールに従ってたどれる道だけを考え、想像上の地図を描いたのが、論理的な道です。
自動電話交換で、ネットワーク内の相手先とだけつながるイメージです。
データリンク
物理的な道をふさいだり、通したりするのは、工事に時間がかかります。
論理的な道をふさいだり、通したりなら、ルールを変えるだけで一瞬です。
信号機や、踏切と同じで、交通整理がきちんとできていてこそ、
他のデータと衝突せず、むしろ効率よくデータの受け渡しができるのです。
このように、物理的な道の上に論理的な道をつくり、
データをきちんと受け渡しできるようにするしくみをデータリンクと言います。
様々なデータリンクの種類
通信ケーブルや光ファイバー、電波など、
物理的な道の特性に応じて、データリンクにも様々な方式があります。
これら各「方式」もプロトコルです。
データリンクの様々な機能
道の先に相手がいることの確認 ・・・・発信応答確認
相手との事前相談(暗号化など) ・・ネゴシエーション
道を通る許可証 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・認証
一時停止確認 ・・・・・・・・・・・・・・・・・信号検知
赤/青信号機 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・送信制御
進入禁止 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・アクセス制限
速度制限 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フロー制御
到着検品 ・・・・・・・・・・・・・・・・・データ検査/修正
送り直して~! ・・・・・・・・・・・・・・・・再送要求
※必ずしもこれら全てが使われているわけではなく、プロトコルごとに使われている機能は異なります。
(3)相手 に関するしくみ
通信したい相手の指定は、電話で電話番号が使われるのと同じように、
通信ではアドレスが使われます。
アドレスの指定もまたデータになります。(通常、送信するデータの先頭で指定)
データリンクに関わる機器は、アドレスデータを見てデータを処理します。
データを受け取った相手も、まずアドレスデータを見て、自分宛てであることを確認します。
MACアドレス
データリンクでのアドレス指定には、通常、MACアドレスが使われます。
※ MAC<マック>=Media Access Control
MACアドレスは、
のように16進数とコロン(:)で表される、4ビット×2桁×6枠=48ビット のデジタルデータです。
※ 16=24 なので、16進数1桁(0~F)は、2進数4ビット(0000~1111)に対応します。
MACアドレスは、世界標準の製造番号のようなもので、
IEEE<アイトリプルイー>という機関が世界中の通信機器メーカーに、前半 24ビット分の番号を割り当てています。
後半 24ビットは、通信機器内にあるネットワークアダプタという部品ごとに
各メーカーで番号をつけています。
MACアドレスは、機器に元々つけられていて、
簡単には変更できないアドレスなので、物理アドレスとも言われます。
まとめ
通信する相手と、あらかじめ共通で持っておくルールのことをプロトコルと言います。
ネットワーク内で、データを効率よく通すしくみをデータリンクと言います。
データリンクによって、物理的な道の上に、論理的な道がつくられます。
規模や重要性、物理的な道の特性などにより、
データリンクにも様々な種類のプロトコルがあります。
通信機器は、データの先頭で指定されたアドレスによって、宛先やその経路を判定します。
データリンクでは、通常、MACアドレスという世界標準のアドレスが使われています。
だから…
高速なデジタル通信も、データリンクによる待ちや速度制限等で、遅くなります。
同じデータリンク内なら、多少待ち時間はあっても、複数台の同時通信が可能です。
ご近所さんと無線LANが重なると、データリンクが合わなくて、どちらも通信不能になります。
無線LANが重なったら、物理的な道(電波の設定)を変えることで、
それぞれまた通信ができます。