インターネットのしくみ(1/4)~ ルーティング編 ~
2016/12/15
インターネットのしくみ
~ ルーティング編 ~
まず、通信についてのおさらいから
通信とは、相手に共通認識を伝えること。
通信は、電話と同じで、より多くの相手先とつなげられた方が、より便利になります。
多くの相手先とすぐ通信ができるようにしたつながり方をネットワークと言います。
ネットワークの通信では、物理的な道をつなげた後、
論理的な道(データリンク)が必要になります。
データリンクは、ネットワーク内で効率よく通信をするための
交通整理のルール(プロトコル)です。
ネットワークの規模やその重要性、物理的な道の特性などにより、
データリンクにも様々な種類があります。
相手に共通認識を伝えるため、その途中で
複数のプロトコルが層になって重なっているのをプロトコルスタックと言います。
ネットワーク内のデータリンク
インターネットができる前のデジタル通信ネットワークは、
主に同じ組織内のコンピューター同士で通信するためだけのネットワークでした。
だから、組織の中で機器や設定を統一すれば、データリンクができました。
インターネットのはじまり
ネットワークも電話と同じで、よりたくさんの相手とつながるほど、
1人1人のコストが下がり、より便利になります。
そこで、他の組織のコンピューターとも通信ができるように
ネットワーク同士をつなげていったのが、インターネットのはじまりです。
しかし、別々のネットワークをそのままつなげても、データリンクはできません。
同じネットワーク内では、機器や設定を統一すればデータリンクができましたが、
あとから機器や設定を変更するのはかなりのコストです。
ルーターとインターネットプロトコル
そこで、インターネットでは、異なる種類のデータリンクは異なったまま残し、
異なるデータリンク間の通信は、専用の通信機器(ルーター)を通すようにしました。
そして、従来のそれぞれのデータリンクも残しながら、
インターネットプロトコル(略して IP<アイピー>)という全く新しいルールを追加しました。
プロトコルスタック
IPは、プロトコルスタックの中でデータリンクの上にあるプロトコルです。
IPによって処理されたデータが、データリンクの受信側まで運ばれると、
今度は受信側もまた、IPのルールに従ってデータを処理してくれます。
ルーター
ルーターは、プロトコルスタックの主にIP以下の層を見る仲介機器です。
ルーターを通じて、IPはインターネット全体の共通ルールになります。
IPで新たなアドレスを割り振れば、データリンクによらず共通で使えます。
IPアドレス
データリンクで使うMACアドレスとは別に、IPではIPアドレスを使います。
IPアドレスは、32ビットデジタルデータですが、
2進数のままだとわかりにくいので、通常は、
のように、4つの10進数を「.」で区切った形で表します。
4つの10進数には、それぞれ 0~255 の間の数値が入ります。
※ 10進数の 0 ~ 255 は、2進数の8ビットに相当します。
※ 8ビット×4枠で、32ビットデジタルデータと同じもの(約43億パターン)を表せます。
ネットワークアダプタ
IPアドレスは、MACアドレスに代わってIPで使われるアドレスです。
1つのMACアドレスに対して、通常1つのIPアドレスを設定します。
MACアドレスとIPアドレスの対応は、データリンク内で共有されています。(ARP<アープ>)
MACアドレスはネットワークアダプタ毎に1つ付いています。
ネットワークアダプタは、コンピューターやルーターなど様々な通信機器内で、
物理的な道への玄関口となってデータリンクの処理を行う装置です。
1つの機器に、複数のネットワークアダプタがついている場合もあります。
例: パソコン・・・有線用ネットワークアダプタと無線用ネットワークアダプタ
ルーター・・・各データリンクへのネットワークアダプタ
ネットワークアドレス
データリンクプロトコルによって簡単に変更できた論理的な道と同様に、
IPアドレスはIPのルールに従えば簡単に変更ができる論理アドレスです。
IPアドレスは通常、管理が複雑にならないよう、
同じ管理者のネットワーク(LAN)内で、連続した番号帯を使います。
※ LAN<ラン> = Local Area Network の略
この番号帯の共通部分(末尾0が代表)を、ネットワークアドレスと言います。
ルーティング
ルーターは、自分の各ネットワークアダプタと、その先にあるネットワークアドレスの
対応表(ルーティングテーブル)を持っています。
データの宛先IPアドレスを見てネットワークアドレスを確認し、
それに応じて適切なネットワークアダプタにデータを流したり、無視したりします。
ルーターのこのような橋渡し機能をルーティングと言います。
まとめ
インターネットは、いくつものネットワークが合体してできた巨大なネットワークです。
異なるデータリンク間も、IPをインターネット共通のルールとして、ルーターで橋渡しします。
IPは、プロトコルスタックの中で、データリンクの上に位置するプロトコルです。
IPでは、MACアドレスに対応するIPアドレスを使い、
その対応がデータリンク内で共有されます。
IPアドレスは、ネットワークアドレスに、MACアドレス毎の番号を付加した形になっています。
ルーターの、以下のような動作をルーティングと言います。
だからインターネットは…
世界中とどんどんつながっていく、もっとも便利で低コストなネットワークなのです。
しかし、ルーティングの設定を間違えると、そのルーターを通る通信ができなくなります。
ルーティングには多少時間がかかるため、
同じデータリンク内の通信よりも、インターネットの通信の方が遅くなります。
多様なネットワークがつながり、柔軟なルーティング設定で即座に迂回もできるため、
インターネットは災害などにも強いネットワークなのです。