しくみキーワード:デジタル
2016/12/15
コンピューターで処理がしやすく、保存や通信などの際にもメリットがたくさんあるデジタルデータについて、詳しく見ていきましょう。
しくみキーワード:デジタル
デジタルとは何か
デジタル(Digital)とは、もともと 「指(Digit)を使って数えるもの」
というような意味です。
指を一本ずつ伸ばしたり曲げたりして「1、2、3、…」と数えるのと同じように、
0から順に、1ずつステップを上がっていく考え方が『デジタル』です。
逆に、数字にしないありのままを『アナログ』と言います。
一番わかりやすい例は、時と分だけのデジタル時計です。
デジタル時計は、0:00 、 0:01、 0:02、…
と、1分ずつ、決まった間隔で時刻表示が変わります。
0:01 になったときから 0:02 になるまでの間は、
0:01.72… などとは表示されません。
0:01 になったら、あとは1分間、0:01 のままですね。
正確には、もう 0:01 ではないはずなのですが・・・
このように、ものごとを細かく見ていくと、実際の世の中で、
「正確にデジタル表示どおり」というものは、ほとんどありません。
デジタル表示の例:
しかし、正確さはある程度で割り切る代わりに、デジタルでは
データを単純化して速く処理できるというメリットがあります。
不正確であるのが感覚的には気にならないレベルでデジタル化することにより、
得られるメリットがたくさんあるのです。
デジタルデータの例: 文字コード
デジタルデータの例: 画素データ
※画素データ(映像データ)がよくわからない方は、以下の説明をご覧ください。
デジタルデータの例: 音声データ
10進デジタルデータ
では、実際にデジタルデータを扱うときのことを考えてみましょう。
人間の場合は、10種類の数字で10進デジタルデータを扱います。
※10進数について、よくわからない方は、以下の説明をご覧ください。
同じように、機器で10進デジタルデータを扱う場合を考えてみましょう。
機器の場合は、数字を読み書きするよりも、
電気、磁気、光などの状態を区別する方が、速く正確です。
そこで、数字ではなく電気・磁気・光などで
0、1、2、3、4、5、6、7、8、9
に対応した10種類の状態をつくり、機器が扱いやすいようにします。
では、10種類の状態を機器はどうやって区別するのでしょうか?
例えば、電気の強さの違いで10種類の状態を作ったとしましょう。
このように、機器は状態の違いを測るものさしを使ってデータを読み取ります。
いつでもそのものさしの目盛に、ぴったり合っていれば間違いはありません。
しかし、電気などの状態は一定に保っておくのが難しく、ブレが生じます。
すると機器は、ものさしを使って測ったデータを見誤るかもしれません。
1つ1つの状態をものさしと見比べて測るのにも、やや時間がかかります。
使う電気も、10種類の区別をはっきりさせるために、いっぱい必要です。
2進デジタルデータ
では、同じデジタルデータでも、2進数で考えてみましょう。
※2進数について、よくわからない方は、以下の説明をご覧ください。
2進数であれば、0、1に対応する2種類の状態だけで十分です。
もっとも変動しにくい状態を0、その一線を越えた状態はすべて1とします。
そうすると、1の状態が多少変動しても、見誤る可能性を最小限にできます。
また、各桁の状態を測る時間も最短で済み、使う電気も最小限で済みます。
ただし、2進数の場合、桁数は大幅に増え、人間には数がわかりづらくなります。
でも、速く正確に繰り返しができる機器にとっては、桁数の多さよりも、
1桁1桁をパパッと身軽に扱える方がとても大事なのです。
このため、いわゆるデジタル機器では、2進デジタルデータが使われています。
「デジタルデータ」と言えば、ほぼ100%、2進デジタルデータのことなのです。
デジタルデータの保存
デジタルデータは、通常、磁気や電気や反射光の差を利用して残します。
イメージで確認していきましょう。
保存するとき
0と1に対応する、2つの状態を並べることでデータを残します。
読み出すとき
0と1に対応する、2つの状態の並び方から、デジタルデータを読み出します。
このように、デジタルデータには保存のしくみをシンプルにできる
という特長があります。
デジタルデータは劣化に強い
さらにデジタルデータは経年劣化にも強いという利点があります。
保存場所の状態や、ケーブルまたは電波で伝送中の信号波の大きさは、
時間と共に必ず劣化します。
これはアナログデータでもデジタルデータでも同じです。
しかし、その劣化した状態や信号波から、どれだけ元どおりのデータが復元できるか?
この点においては、0以外は1しかない2進デジタルデータの方が圧倒的に優れています。
機械による処理
機械は単純作業を人間よりも速く正しく繰り返せます。
複雑に見える処理も、単純作業に分解すれば、機械が速く正しくやってくれます。
一般的なパソコンであれば、このくらいの単純作業の寄せ集めを
0.000000001秒レベルの速さでできてしまいます。
デジタルデータのつくり方
アナログデータをもとにしてデジタルデータをつくる場合、
ものさしとなるデジタルデータとアナログデータを比較して、
アナログデータにもっとも近いデジタルデータに置き換えて、
デジタルデータをつくります。
ビットとバイト
2進デジタルデータの桁(けた)のことをビットと言います。
世界中でもっともたくさん使われている「半角英数字」には、
8ビットの文字コードが各文字に割り当てられています。
そこで、8ビットの2進デジタルデータを特に「1バイト」と数えます。
これは、7日間を「1週間」、12個を「1ダース」と数えるのと同じように、
よく使うひとまとまりの分量に、特別な呼び名を付けているのです。
デジタルデータのまとめ
あったことを数に置き換えたデータが、デジタルデータ。
あったことをそのまま映したデータが、アナログデータ。
特に、2進デジタルデータには、以下の特徴があります。
保存がしやすい
劣化に強い
処理がしやすい
このため、デジタル機器では、ほとんどが2進デジタルデータです。
通常、「デジタルデータ」と言えば、2進デジタルデータのことになります。
デジタルデータの1桁をビットと言います。
英数字1文字分相当になる8ビットを1バイトと言います。